カノムチーンさんは母親と中学校2年生の兄と暮らしています。両親は数年前に離婚しました。父親からの養育費の支払いや連絡はありません。そのため一家は叔母の家に引っ越しました。叔母の家も貧しく、ギリギリの生活ですが、結婚していないので、一緒に住んで金銭面で助け合うことにしました。生活は快適ではありません。家は平屋で狭く、小さな2部屋しかありません。1つの部屋に叔母とその娘が寝て、もう1つの部屋でカノムチーンさん、母親、兄が寝ています。
叔母は土地を借りて農業をやりながら、日雇いの仕事もしていますが、自分と娘の生活費しか稼げません。カノムチーンさんの母親も日雇いの仕事をしており、家から24キロ離れた電化製品販売店で働いています。毎朝、家族一緒に家を出て学校と職場に行き、夕方は母親の仕事が終わるのを待って、一緒に帰宅します。1日の収入は300バーツで、病気で仕事を休むと収入はありません。生活費の負担は叔母が手伝ってくれますが、子ども2人の学校関係の費用の負担もあります。カノムチーンさんは家族の問題や貧困を、道を外れる理由にはせず、勉学に励む力としました。彼女と兄を養うために懸命に働く母親を気の毒に思うからです。その結果、彼女の6年生後期の成績は3.53(満点は4.00)で、隣のブリーラム県にあるチュラポーン王女科学学校の受験を計画しました。この学校は数学と科学で特に秀でた能力を持つ生徒を集めて教育する学校です。
彼女の勉強面は順調のようでしたが、1つ目の問題が発生して、受験が難しくなりました。5年生、6年生時には政府から金銭的支援を受けていましたが、それでも学校への支払いが滞っていたため、卒業見込み証明書の発行が不可だったからです。そこで教諭は彼女を助けるために当財団に連絡してきました。我々は学校側と話し合い、未払いの問題を解決し、心配なく受験できるようにしました。
その後、彼女は2つの学校に合格したと嬉しい連絡がありました。教諭はチュラポーン王女科学学校への進学を勧めました。秀でた能力を更に伸ばすためです。そしてその学校には学内に寮があり、母親の負担も大幅に減らせるからです。
しかし、またしても彼女に問題が発生しました。学校保険の保険料、寮の設備費、新しく購入する制服代、学用品費などの入学初期費用が高く、期日までの支払いができずに入学機会を逃そうとしていました。運良く同時期に、一人のご支援者様が当財団のウェブサイトを見て、彼女を高校卒業まで支援したいとの申し出がありました。急いでご寄付いただき、私共は入学手続きとオリエンテーションが行われる当日、やっと彼女の必要費用を工面することができました。制服や学用品も新学期初日までに用意できました。
彼女は見知らぬ方からの愛のあるご支援に、心より感謝しています。いただいた機会を最大限に活用して、精一杯勉学に励み、ご支援者様や母親の期待に応えるように頑張り、ご支援様からのご厚意は一生忘れません。高校卒業後に科学の勉強で進学するための奨学金をもらい、将来は国の発展に貢献するためにも、勉強を頑張ります。
彼女は無事に、ブリーラム県にあるチュラポーン王女科学学校に入学できました。2023年1学期の成績は3.83(満点は4.00)でした。家族から離れて寮での一人暮らし、理数系の高い能力を持った生徒が多く集まって勉強しているために、非常に高度な競争があるなど、プレッシャーに耐え、様々な面で適応していく必要があります。それでも彼女は負けずに勉強に励んで、自身を成長させています。いただいた機会を無駄にしたくないからです。
より良い教育を受ける事で、彼女と家族の生活が良くなり、将来は食べるのに困るような生活にならないと信じています。教育は貧困から脱出して、良い生活をする手段になると確信しているからです。
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