奨学金提供に対する奨学生のお礼
奨学金提供に対する奨学生のお礼 「奨学金は私達家族にとって本当に大きな助けになっています。」
EDFではもうすぐやって来る2020年年末に向けて皆さんに通称『ファイちゃん』、ワリーラット トンテープさんの話をご紹介します。ファイちゃんは、2019年よりEDFの奨学金を受けているコーンケン県のバーンドゥーヤイ学校の中学二年生です。
ドアのない家の前のファイちゃんとお母さん
 ファイちゃんは、現在14才、母親と小学生の兄弟2人といっしょに住んでいます。また近所には、母方の祖父母が住んでいます。父親は、随分前に母親と離婚して以来ずっと音沙汰がありません。そのため母親は、細腕一つで3人の子供達を養育しなければなりません。現在、母親は、ファイちゃんが通う学校の給食調理員として働く傍ら『マットミー』と呼ばれるタイ東北地方の伝統絣手織物の職人としても働いています。ファイちゃんの母親が行う作業は織物が完成するまでの一つの工程で、紐で思い描いた柄を糸や絹糸を括るというものです。その後染色して織ると紐で括った柄が織柄として表れマットミーと呼ばれる織物が完成します。
織物の工程をの一つの「マットミー」を見せてくれたお母さん
 
 EDFは、2020年初めにファイちゃんの教育奨学金の支援者の方をファイちゃんが通学する学校とファイちゃんの家にご案内する機会に恵まれました。ファイちゃんの母親は私達を笑顔で歓迎してくれ、家を見せてくれました。家は古いトタンと木で作られており玄関にあたるドアもなく私達は、保安上心配になりました。ファイちゃんの母親は、マットミーの紐で糸や絹糸を括る作業を見せてくれました。とても根気のいる、時間がかかる作業だと思いました。朝8時から夕方5時まで紐を括り続けて一枚がやっと仕上がるそうです。その収入は一日でたったの150バーツだそうです。ファイちゃんも土曜日と日曜日にこの作業を手伝っているそうです。幸運なことにファイちゃんの母親は、学校から斡旋してもらった給食調理員の仕事もあり一家を支える収入源の一つになっています。
 
近くにある母の祖父母の家
 
 ファイちゃんは、奨学金について次の様に話してくれました。『私は、奨学金を頂くことができて本当にうれしいです。奨学金は私達家族にとって本当に大きな助けになっています。奨学金で制服を買ったりして私達のために一人で働く母の負担が軽減されるようになりました。支援者の方に深く感謝しています。どうもありがとうございます。そして緊張して何からお話ししていいのかわからずたいへん失礼してしまいましたが、わざわざ学校や私の家まで訪ねてくださりとてもうれしかったです。』
授業中のファイちゃん

 ファイちゃんは、私達に将来の夢についても語ってくれました。『私は、最初農業をしたいと思っていました。でも、農業をするには土地が必要で土地を買うためには仕事に就かなくてはなりせん。今は、まず中学を卒業してそのあとは、あまり費用がかからない家の近くの職業訓練学校へ進学したいと思います。そして実は、私にはもう一つの夢があります。それは先生になることです。先生は公務員ですから生活も安定して家族の面倒をみることもできて良い人生が開けると思います。』

以上が支援者の方と共にファイちゃんの自宅を訪問した時の報告です。

EDFは、新型コロナウィルス禍の厳しい情勢の中にも拘らず、多くの支援者の皆様から私達の活動に引き続いて深いご理解とご支援を頂きましたことに対し、全ての奨学生に代わりまして厚く御礼を申し上げます。本当に有難うございました。
現在の物価上昇を考えますとEDFの奨学金は十分とは言えないかもしれませんが、奨学金は、今、現在貧困に陥っている子供達の家族の大きな救いの手となっていることに間違いはありません。どうぞ今後とも皆様のご厚意を賜りますようよろしくお願い申し上げます。


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