軍人になりたいという夢を持っているWoon君
Woon君(キティナン君、12歳)はブリーラム県の小学6年生です。彼が直面している人生の試練はあまりにも困難で、子供一人で乗り越える事はできません。
父親は彼が1歳の時に他界しました。その後、母親は再婚して子供が生まれ、新しい家族とバンコクで暮らすために引っ越しました。兄と姉はそれぞれ、中学を卒業後に他県の工場へ働きに出た後、結婚して新しい家族と暮らしています。母親、兄姉とはそれ以来会っていません。
キティナンシ•シリセウスワン(Woon君)と58歳の祖母
一緒に暮らす家族は祖母58歳のみで、ほとんど何もない木造平屋の家に住み、古いラジオの音で寂しさを紛らわしています。祖母は建設労働者で、頻繁に他県に出稼ぎに行き2、3か月間家を不在にするので、その間Woon君は一人で暮らします。
祖母が不在の間、掃除、洗濯、皿洗い、朝晩の食事の支度を一人でやります。食事の支度と言っても彼ができるのはインスタント麺を作るのと卵焼きだけです。祖母はWoon君の生活費として500バーツを隣人に預けていきますが、足りなくなる事があります。隣人は食事をおすそ分けしたり、Woon君の具合の悪い時は隣村に住む親戚に連絡して、通院の手伝いを依頼します。
Woon君は毎日家から2キロ離れた学校まで歩いて通学します。さらに放課後は皿洗い、土日はゴムの収穫、キャッサバ農園の草刈りの仕事をします。稼いだお金は祖母に渡し、祖母が不在の時は生活費の足しにします。お金が足りない時は学校を欠席して仕事に行きます。
先生は「Woon君は成績優秀ではありませんが、真面目な子で、成績は平均レベル、得意な教科は社会です。一人暮らしになる事と生活費のために学校を欠席する事を心配しています。」と話してくれました。
Woon君は「大きくなったら軍人になりたいです。公務員になる事を祖母が望んでいるからです。祖母に誇りに思ってもらいたいです。もし奨学金を頂けるなら、とても嬉しいです。仕事のために学校を欠席する必要がなくなります。」と将来の夢を語ってくれました。
今日、Woon君の他にも機会に恵まれない子供達1万人以上がEDF財団の支援を受けています。彼らの人生に於ける様々な試練は、彼らが教育を受ける機会へ大きな障害となります。多くの子供達が、抱えている問題に疲弊し、中には失望しかけている子もいます。
この様な子供達には同情だけではなく、早急な支援、特に教育の支援が必要です。教育は知識や知性を授けるだけではありません。人生の困難を自らの手で力強く、持続的に克服すると共に、自らの将来を切り開いていく大きな声援となるのです。
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