元EDF奨学生 二コーン・スワラック(ニックネーム:コーン)
本籍:ローイエット県
学歴:
中学課程(1~3年)ローイエット県バーンパックウェンアナーマイ校(2004~06年)
高校課程(4~6年)ローイエット県ストリスクサー校(2007~09年)学位:スワンドゥシットラチャバット大学美容科学科卒業 科学士 (2013年卒業)
現在:ウドンタニ県ティチコン・クリニックにて、ティチコン博士の助手・アドバイザー
EDFが「人生を変えるチャンス」として、上記・ローイエット県出身の元奨学生(2004~2009年に中学1年生~高校3年生)二コーン・スワラック君(愛称:コーン)の話を、今年9月にEDFがタイ人支援者にレポートしました。その内容は下記にあります。レポートしたその後日談と共にご紹介します。
ニコンさんが奨学生だった話
下記はニコンさんに書いてもらった話です。
「昔、僕は小さな家の貧しい子どものひとりでした。家の田んぼもまた小さく、自家用の米を収穫するのがやっと。両親は農民でしたが、母は農作業の他に昼間は学校の食堂でご飯を売りに来ていました。子ども時代の我が家の暮らしはとても大変でしたから、僕も自分にできることは何でも手伝っていました。毎朝目覚めると、学校で売る料理作りの手伝いをしなければなりませんでした。学校での昼休みも、母の手伝いをして店番や皿洗いをしました。
放課後も、村の四つ辻で焼き鳥や肉団子を売りました。上の学校に行っている兄に送金するためです。
暗くなると急いで帰って家事の手伝いをし、それから宿題をして、本を読みました。
どんなに疲れても、勉強を放り出そうとは思いませんでした。父や母がいつも、子どもには上の学校まで行ってほしい、行けばきっといいことがあると言っていたからです。
それで僕は一心に勉強をし続け、やがて自分が、EDFというところの奨学金を受けられると知ったのです。
貧しい子どもたちに奨学金という支援の手を差し伸べてくれる人たちがいるとは何とうれしいことでしょう。その支援額がたとえ大きな金額でなくとも、僕のような貧しい生徒にとっては大変ありがたいものでした。」
最初に会った写真
大学卒業の夢が叶え、次の夢は海外で働くこと
「僕はそのお金を勉学に関することに使い、少し家族に楽をさせることができました。
しかし奨学金獲得より感動したのは、奨学金提供者である方が、僕の家まで来て我家の状況を実際に見てくれたことです。お会いできるとは思ってもみませんでした。だって日本に住んでいらっしゃるはずなのですから。そしてうちまで来てくれただけでなく、僕が高校課程卒業まで援助を続けると言ってくださいました。僕の心に深く刻まれたのは、もっと勉強を続けたいと願うただの片田舎の子どもに、大事なものを与えてくださったという事です。
僕は「一所懸命勉強し大学を卒業してから就職して、両親を楽にさせます」とお答えしました。
その後、スワンドゥシットラジャバット大学の美容科学科を卒業後は、ウドンタニ県のティチコン・クリニックにてティチコン博士の助手・アドバイザーとして働いております。
次の目標としては、海外で体験を積みたいと考えています。色々な体験をすれば、きっと仕事の腕も上がるでしょう。そしてその行ってみたい外国とは日本です。
もし機会があれば、奨学金を出し続けて下さった方に会いに行きたいと思います。かつて遠路はるばる僕の家まで会いに来てくださったのだから、今度はお訪ねしたく思っています。
多くの人は外国で仕事をするなんて難しいことだ、大変だと言います。しかし僕は、どんなに困難なことでもたゆまず努力し忍耐をもって当たれば、自分たちには成し遂げる力があると思います。子ども時代にあんな困難を切り抜けてきたのですから。」
かつてEDFが日本人である提供者と奨学生コーンとを仲介して、両者が顔合わせをし、さらにこのドナーがコーンの家まで行って家族に会ったのは約10年前のことでした。
10年間後に会った写真
記念すべき日
そして、今年、このコーン君もう一度ドーナに会うことができるのです。本年11月13日、コーンは、現在の勤務地ウドンタニ県から元の奨学金提供者西川康雄さんに会うためにノーンカーイ県に行きました。実は西川氏は現在、ノーンカーイ県にて日本語学習支援財団を設けています。そして今もずっと、子どもたちに奨学金の提供を続けてくださっています。
今回再び西川さんに会ったコーンの感想です。
「お会いした時、僕は言葉に表せないぐらいうれしく感じました。西川さんも喜んでくださいました。僕は今回のことをしっかり憶えておきます。まさかもう一度お会いできるなんて思っていませんでしたから」
「僕は西川さんとのたくさんの会話の中で、ずっと勉強に励んできたことや、現在の仕事についてお話しました。この時間は僕にとって、全く夢のような不思議な素晴らしい時間でした」
今回、コーンと西川氏は、この財団のラチャニー先生が双方に連絡を取って通訳してくださり、この再会が実現しました。その後、ウドンタニ―へ向けてコーンが帰っていく前に二人は一緒に昼食を取りに出かけました。西川氏は、また会いにきてくれたコーンの気持ちを思い、時間を見つけてローイエットの彼の両親を訪ねたいと告げました。今回ドナーに会えたことについてコーンはこう述べました。「自分が“もうひとりのお父さん”と呼んでいる方にまた会えたことは、本当にうれしい事でした。今までのご恩に報いるためにも僕はまたチャンスを作り、西川さんをお訪ねして色々して差し上げたいです」
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