◆東北地方について◆
一般に「イサーン地方」と呼ばれる東北部は、タイ東北方面のコラート台地に広がる一大地域です。イサーン地方はタイ国内で最も面積が広く、また人口の多い地域です。総人口は21,328,111人。ここは次の19の県によって構成されています。ノンカーイ、ナコンパノム、ムクダハーン、チャイヤプーム、サコンナコン、ウドンターニー、ルーイ、コンケン、マハーサーラカーム、ガーラシン、ローイエット、ヤソートーン、ナコンラーチャシーマー、ブリーラム、スリン、シーサケット、ウボンラーチャターニー、ノーンブワランプー、そしてアムナートジャルーンです。
イサーン地方で暮らす人々の多くは農家です。その主要作物として、まずは米、そしてタピオカやバイオ燃料の原料となる芋の一種キャッサバ、繊維を取るケナフ(洋麻)、またトウモロコシなどがあります。この地域は、作物の栽培に適した土地もありますが、全体としては生産性はあまり高くありません。米作りも雨水に頼っているため、水不足や洪水が起こり、生産が安定しません。
農業用水が不足している問題を受けて、王室は「緑のイサーン・プロジェクト」という名前で一般に知られている地域支援プロジェクトを興しています。このプロジェクトの狙いは、水源開発、新たな職業の創出や開発、また保健衛生の改善などにより、地域の生活水準を向上させることです。このプロジェクトを実施する上で検討されている重要課題のひとつとして、イサーン地方の多くの地域が、水を大量に必要とする米の栽培には不向きだが、牛などの家畜の飼育にはむしろ向いているといったテーマがあります。しかし、牛や水牛の餌を供給するために牧草地を開発するといった手法は、この地域ではまだあまり盛んではありません。いまひとつ成果を上げていないのが現状です。一方、絹織物や籠細工といった工芸品の生産は盛んに行われ、高い技術を誇っています。しかしこれら工芸品の生産も、大量生産し流通に乗せるといった大規模事業としては、まだ殆ど行われていません。
こうした水資源や産業の不足により、地域の人々は生活に窮し、土地を離れて、他所へ生活の糧を求めて移動して行きます。多くの場合、新しく土地を開墾するわけですが、これも時代が移るにつれ、新しく切り開くことのできる土地もだんだんと減り、現在では他所に行って季節労働者や日雇い労働者となったり、あるいはシンガポールやブルネイ、また中東の国々にまで出かけて行ったりする人々もいます。したがって、このイサーン地方の課題は、地域に既にあるものを利用して新たな道を探り、新たな仕事を創出して、さらにそれを地域の天然資源の状況にマッチさせることでしょう。例えば、上に挙げた家畜の飼育や、また地場産業をサポートする工場の建設などです。
EDFがタイ国の教育開発への取組みをスタートさせたのは1987年のことです。恵まれない田舎の経済的に貧しい子どもたちに教育機会を提供し、地域の発展に貢献する人材を育成することによって、イサーン地方の生活環境を改善することを目的として発足しました。
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