業種を問わずどんなビジネスでも、消費者に対する企業責任を避けて通ることは出来ません。人権、労働基準、そして環境問題。これらは多くの企業にとって重要なテーマであり、経済がグローバル化している現代では、世界規模でマイナス要因にもプラス要因にもなり得る影響力を持っています。
1999年、世界経済フォーラムでアナン国連事務総長が提唱したグローバルコンパクト(GC)は、社会の中で責任ある企業市民の理念を普及させること等を目的にして、ビジネス活動に人権・労働・環境・腐敗防止の4つの分野に関する10原則を組み入れ、企業に国際的なイニシアチブであるGCへの参加を促しました。
昨今、一般にもよく知られるようになった社会貢献事業は、企業にとっての重要な事業方針の一つとなっています。そんな社会貢献事業に取り組んでいる企業のひとつ、京セラ三田(タイランド)では、個々の従業員レベルで事業所周辺の地域とも手を組み、積極的に社会貢献活動に携わっているのが特長です。同社では活動を通じ、天然資源及び環境保護に特に力を注いでいます。例えば、全従業員が協力し、不要になった衣類や書籍を集め、学校へ寄付する活動は、一見ごく普通のリサイクル活動の様であるが、企業内の団結や連帯感を育むのに大変有効な一面を持っています。そのほかの取り組みでは、事業所と近隣の地域を従業員で清掃する「クリーニング・デー」などがあります。
同社では今後2年間の活動を通じ,今よりさらに環境への意識が高い企業への成長を目指しています。教育支援もまた、同社が高い関心を寄せている活動です。EDFを通じてタイ東北地方の子どもへ奨学金を提供する活動をはじめ、タイ国内のさまざまな地域の貧しい児童に対し奨学金支援を行っています。
同社で唯一の日本人取締役・飯田真司氏は私達にこう語ります。「タイに赴任し一年が経ち、これからはもっと様々な場面でタイという国の社会のために役に立ちたいと思ったんです」。個人的にEDFのダルニー奨学金のドナーとなった飯田氏は、これをきっかけに会社としての取り組みを本社に提案、今年は12人の児童が、京セラ三田(タイランド)の支援で中学に進学することが出来ました。
同社は、環境に優しい企業となること、そして、従業員に対し最高に安全で快適な社内環境の提供を実現し、今後2年以内をめどにISO14000を取得することを目指しています。「ダルニー奨学金の奨学生たちが、出来るだけ高い教育を受け、身につけた知識を生かして自分達の故郷の役に立つ人間に成長してほしい。」飯田氏のメッセージにはタイの発展を願う熱い思いが隠されています。
(2008年9月、ダルニーニュース16号より)
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