カンチャナーさんは現在、バンコクの公立病院で臨床看護師として勤務しています。彼女の現在の生活は、緊急病棟で患者をケアすることに全力を注いでおり、責任感に満ちています。しかし、今日に至るまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。彼女の人生は数々の挑戦に満ちていましたが、それでも得ることの出来たチャンスが彼女に夢を追い続ける力を与え、今の成功に繋がりました。
カンチャナーさんは、タイ北部ペー県で生まれ育ちました。彼女の家族は質素な生活を送っており、父母は日給500〜600バーツで働いていました。この収入は日常生活へのやりくりは可能でしたが、緊急時には不十分でした。中学3年生の時、彼女の家族は困難な状況に直面しました。父親が重病にかかり、約1ヶ月間ICUに入院することになったのです。退院後もリハビリが必要で、家族はほぼ1年間収入が途絶えてしまいました。
奨学金の希望と支援
父親がリハビリを受けている間、カンチャナーさんは高校進学の準備をしていました。そのとき、EDFからの奨学金が彼女を支え、家から近い地元の高校に通うことができました。元々は県外の高校に進学する予定でしたが、地元の学校に通うことで費用を節約できました。この奨学金は、学費、学用品、特別活動の費用などに充てることができ、また、彼女は熱心な学習態度を認められて、無料の補習を受けることができました。さらに、パートタイムの仕事も得られ、大学進学のための資金を確保する助けとなりました。
高校時代、カンチャナーさんは数学に優れており、学校の代表として様々なコンペティションに出場しました。また、学校の活動のリーダーとしても活躍しました。
現在の役割と将来の展望
現在、カンチャナーさんは公立病院の緊急病棟で勤務し、急変する患者のケアを担当しています。この役割は迅速な判断が求められるため、強いストレスを感じることがあります。患者数が多く、ベッドの占有率が高い一方で、スタッフが不足しているため、これらの課題に取り組みながら、自分の能力向上と職場の改善のために頑張っています。そして、将来は看護職として、より高いレベルの教育を受けたいと思っています。
教育に対する見解と奨学金を受けた他の学生へのアドバイス
カンチャナーさんは、中学校から高校までEDFの奨学金を受けており、教育がいかに彼女の人生を変えたかを実感しています。彼女は、支援をしてくれた寄付者や組織に深く感謝しています。カンチャナーさんは、地方の貧困家庭の子どもたちへの奨学金が非常に重要であると強調しています。家庭の収入や状況によって、多くの子どもたちが教育の機会を失っているのは非常に残念です。彼女は、これからの世代の人達が国の発展に貢献できるように育っていくために、教育の機会を提供することの重要性を訴えています。そして、困難な状況にある子どもたちには、自分の好きなことや得意なことを見つけ、夢を持ち続けてほしいと伝えています。今は以前よりも多くの支援による学びの機会があり、奨学金を受けた人は、その資金を最大限に活用し、将来には他者への支援で恩返しをすることを願っています。
カンチャナーさんの物語は、教育支援の重要性と彼女の努力が困難を乗り越える力となったことを証明しています。奨学金が彼女に学びの機会と明確な目標を提供し、彼女が愛する仕事に従事するための希望と勇気を与えたことは、非常に意義深いものです。
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