2021年度奨学金申請した子の話 クワンチャイ君
2021年度奨学金申請した子の話 クワンチャイ君
 クワンチャイ・コムケェーオ君、12才は、現在ナコンパノム県ナーワー郡ラオパタナー地区にあるバーンドンサーラー小学校の6年生です。2008年7月に両親の次男として生まれましたが、生まれる数か月前、不幸なことに父親が他界してしまいました。母親は、数年前に子供達の義理の父親である男性と再婚するまで二人の子供達をずっと細腕一つで養っていました。しかし、一家には自身の所有する畑もなく手に職もないため彼らの暮らしは貧窮そのもので、毎日がその日暮らしです。
クワンチャイ・コムケェーオ君、12才、ナコンパノム県

母と義父と一緒に撮った写真
 
 一家は、人が生きるための四つの必要条件(タイでは衣食住の他に薬も含まれます)さえ持ち合わせていません。一家の家は、古い木やトタンや看板広告に使われていたボードまた古着や古布、乾燥した草に至るまでを使った廃墟と化した小さな家です。当然、雨季の大雨や乾季の寒さも絶え凌ぐことができません。
 手持ちの衣服は着古された古着でそれらを着回す毎日です。夜だけは、ろうそくとランプの灯りで何とか暮らしていますが、家には電気も水道も通っていません。
 
今住んでいる家
 
 クワンチャイ君の母親も義理の父も小学校しか卒業しておらず安い賃金で雇われる肉体労働者として働くしか術がありません。日雇いとして得られる仕事も必ずしも安定しておらず賃金も雇い主によるところが大きく、たとえば牛の放牧は一日で50バーツ、ござ編みの仕事は一枚20バーツといった感じです。仕事がない日は、魚を釣りそれを村の市場へ売りに行きます。釣ってきた魚の一部は家族の食卓にものぼります。こうして両親が稼ぐ収入からはクワンチャイ君の教育費はおろか生活費さえも捻出できません。
 
牛の放牧は一日で50バーツを得る
 
義父と一緒に魚を釣りに行く
 
 クワンチャイ君は、とても気立ての良い子です。感謝の気持ちを忘れず、責任感が強く、勉強もしっかりと取り組みます。いつもお皿洗いやご飯炊き等できる限り、両親の手伝いをしています。週末は田んぼで放牧の仕事をする母親の手伝いもします。学校ではその優しさや誠実さから先生や友達皆から親しまれ愛されています。毎朝早朝に学校へ行き、授業が終わると一目散に家へ帰り母親の手伝いをして暗くなる前に授業の復習や先生から出された宿題をすませるのが日課です。
 
お皿洗いなどの家事を手伝う
 
鶏に餌をやる
 
 クワンチャイ君は、科目では体育と保健、そして動物の世話をするのが好きです。サッカーも好きで今、学校の課外活動で気に入っているのが“Moving For Health”(健康のために身体を動かしましょう!)と呼ばれる活動で子供達は、自由に縄跳び、リズム体操、ボクシング等の運動を楽しみ身体を鍛えることができます。
 
 

学校の活動に参加する
 
 クワンチャイ君には、大人になったら兵士になり自分の国を守りたいという夢があります。いつも教えを守り、毎日何事にも一生懸命に頑張っていこうとしています。
 
 クワンチャイ君は、両親の経済的負担を少しでも減らし、今後も勉強が続けられる様に2021年度のEDF教育奨学金の継続を申請しました。もしEDFの教育奨学金を受けることができれば必要な学用品、通学のための交通費、飲食代等を賄うことができ、貧困のために学校を中退しなくてはならないかもしれないと不安に陥ることなく集中して勉強に打ち込むことができます。そして教育により、たくさんの役立つ知識や生活技能を学び、それは将来の仕事へと結びつき、ひいては貧しい家族を養うことができるでしょう。もし、チャンスを得ることができれば大学まで進学して安定した良い仕事に就き家族を支えたいと考えています。
 
 クワンチャイ君の話は、タイ国内でEDFの教育奨学金援助を切望している数千人の恵まれない子供達のほんの一例です。皆、新しい年2021年度に向けてより高くより恵まれた教育環境を求め『貧困の連鎖による悪循環』から抜け出したいと願っています。
  
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